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第三話 私の日常
私・双葉葵はムダに立派な門を押し開け、ムダに広い自宅の敷地に入る。すると、千茅が走ってきた。
「お嬢様! どこに行っていらしたのですか?」
彼女・河原千茅は、我が家に居候している大学生。私達一家のために尽くしてくれるいい人なんだけど、私は気に入らない。
「アンタには関係ないでしょ」
「そんなこと仰らないでください。それにその格好。奥様がお怒りになりますよ」
しゃがみ込んで、私の服に付いた汚れを払ってくれる。
なんだか無性にイライラして、
「気安く触らないで!」
叫んでから、ハッとした。
「申し訳、ございません」
千茅は深く頭を下げ、うつむいたままどこかへ行ってしまう。
…………また、やっちゃった。
一番つらいのは、千茅なのに。
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