第十五話 「weeds」大改革!?

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「とりあえず。菊子さん! 営業時間内に薬を作るのは、やめてください!」 「あ、葵ちゃん……」  開口一番がそれ!? クレーマー騒ぎのせいで落ち込んでた菊子さんにいきなり、そんなクレームじみた提案をするなんて!   私はあわてたけど、菊子さんは傷つく気配もなく、ふふっとほほえんだ。 「――それはぁ、ザンネンですねぇ」 「「「ザンネン、って……」」」  ななめ上の返答に、私、葵ちゃん、千茅さんの3人は困惑と呆れが混ざった声でツッコんでしまう。 「もちろん、お薬の販売と紹介はやめませんよぉ。それが、『weeds』のもとからのウリですからぁ」 「それでいいと思います」  私が賛成し、葵ちゃんと千茅さんもうなずいて同意を示す。 「しかし、薬の販売だけではいささか味気ないのでは……」 「そうなのよね」 「一般のお客さんには、とっつきにくいかも」  う〜ん。  4人で額を集めて頭をひねる。 「――そういえば、ワラビ採り、楽しかったね」 「あぁ、あれですかぁ」 「ワラビ採り、とは?」 「近所に、山菜のワラビが生える斜面があるんですよぉ。そこで、わたしと蓬ちゃんと葵ちゃんの3人でワラビを収穫したんでぇす」 「斜面、ですか。危なくなかったのですか? 葵さん、転げ落ちたりなどは」 「一回、落ちたわね。蓬と、2人まとめて」 「大丈夫だったのですか!?」 「大丈夫よ。ケガするほどの高さじゃなかったもの――というか、どうしたのよ、急に。ワラビ採りの時の話なんて」 「あの時に菊子さんがワラビで作ってくれた油炒め、おいしかったな〜って」 「確かに。菊子さん、料理上手よね」  私は葵ちゃんにうなずいてみせた。 「菊子さんは、『生活の中で野草を利用する』ための知識が豊富なんですよね」  出会ってすぐの頃に、自分からそう言っていた。 「 なら、その知識を薬以外のことに利用すればいいんじゃないですか?」  菊子さんが、ハッとする。 「タンポポコーヒーとかぁ、ドクダミ茶とかぁ――お客さんに出したらいいかもしれませぇん……!」  葵ちゃんがそれに対して 「いっそのこと、カフェみたいなことをすればいいんじゃないかしら」  と、さらなる提案をして、 「そうですね」 「うん!」 「いいかもしれませぇん」  各々が賛成する。 「では、『野草のみせweeds』カフェスペース開設に向けてぇ、準備を始めましょぉ!」 「「「はい!」」」 こうして、「weeds」の大改革が始まったんだ。
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