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第十六話 お買い物
「――で。そんなオモシロい話を、あたし抜きでやってたんだ?」
次の日、学校。ひとけのない階段の踊り場で、私は東さんと話していた。
「うう。東さん、ごめん……」
私がうなだれると、東さんは辺りをキョロキョロと見回してそわそわする。
「や、怒ってるワケじゃないから。そんな落ち込まないで! あたしがイジメてるみたいじゃん!」
「……なんで?」
キョトンと首をかしげると、東さんはあからさまにあきれた顔をした。
「……ヨモギ。君、自分がぼっちな自覚ある?」
「え? 東さんが話しかけてくれるようになったから、もうぼっちじゃないよ?」
東さんが、ヤレヤレと肩をすくめる。
「そうじゃなくて。周りがどう思ってるか、ってコト」
「?」
「あんまりニブいと、イジメの標的になるかもよ。まあ、もしそんなことになっても、あたしが守るけど」
「そっか。ありがとう」
「そーゆーとこ。まあ、それがかわいいんだけどね〜」
「わわ」
東さんはまだあきれながらも、ワシワシと私の頭をかき回した。
「でさ。今日の予定は?」
「きょうの、よてい?」
「『weeds』が、叔母さんのお店がどう変わっていくか、あたしも見届けたいからさ。手伝うよ」
「え……いいの?」
私と葵ちゃんで押し切っちゃっただけで、東さんは店の存続に反対してたはずなのに。
「いいの、って。あたしは叔母さんが心配だっただけだからね。叔母さんのお店が繁盛するなら、それに越したことはないよ」
「そう、だったんだ――今日は、お店のカフェスペース開設に向けて、必要なものをショッピングモールまで買いに行くの」
「おっ! 楽しそうじゃん。あたしも行く〜!」
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