相手は狩りのつもりでしょうがこちらは釣りをしてるんです

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 私は先生を連れてとある城下町へやってきた。それなりに人通りが多く、飲食店から武器防具の店まで様々な店が軒を連ねている、大きな街だ。 「じゃあ次は実践です。いい機会なので先生も外に出て彼氏の一人でも見つけてみましょう」 「はあ? どうやって?」 「気に入った男性に片っ端から声をかければいいんです」 「ナンパしろってこと?」 「そうです。待ってても男の人は寄ってきません。先生は家の中で釣りをするんですか? しませんよね。じゃあ魚を釣りたければどこへ行きますか?」 「そりゃあ、川とか湖とか……」 「ですよね。魚を手に入れたければ水があるところへ。だったら男性を手に入れたければ男性がいる所へいかなければだめだってことです」 「まあ、言ってることはわかるけどさ、君さっき『追いかけさせろ』みたいなこと言ってなかったかい? これじゃあ追う側になってるじゃないか」 「わかってませんね先生。私たちは釣りで言えば餌なんです。いくら男性に狩猟本能があったって部屋の中まで餌を食べに来る魚はいません。だから獲物の前に餌を置いてやればいいんです。そうすれば向こうの方から寄ってきて……」 「ガブっと食べられるということか」 「そういうことです。つまり、こちらにも追いかけさせてあげるために準備して上げる必要があるわけです」 「そうすればボクも性交渉ができるということか!」 「ちょ、ちょっと! こんな街中でなんて事言うんですか! そういうのはお家に帰ってからです!」 「そうだな。やるならベッドの上で、ということだな?」 「少し違いますけど、まあそんな感じです。じゃあ先生、とにかく男性に声をかけまくってみてください。狙うポイントもなくはないですが、ナンパ初心者の先生はまずは数です。数打てば当たります。大丈夫、普通は女性から声をかければ80%以上の確率で食いついてきますから」 「そんなに高確率で!?」 「まあまあ百聞は一見にしかず。まずは挑戦してみてくださいな」
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