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「「カナメっ」」 「ねーちゃんっ」  いきなり至近距離に家族三人の顔が迫る。 「うわっ…こわっ」  一瞬シンとなり、直後、 「…っざけんなよっ! どんだけ心配したと思ってんだよ」と叫ぶ弟のユタカ。 「車にはねられたって聞いたとき、心臓が止まるかと思ったぞ」ベッド近くの椅子にストンとすわりこむ父。 「…でも……よかった」目尻を指で拭う母。  落ち着くと、目覚めた第一声が「こわっ」はないよな、と家族中でひとしきり笑った。  昔から観察力にすぐれたユタカがわたしを指差してさらに笑う。 「ねーちゃん、事故前にモロコシ食ったの? 歯にモロコシ、はさまってる…ダサすぎるだろ」  口に手をやろうとして、右手に巻かれた包帯に犬の毛らしきものが付いているのに気づく。  爆笑するユタカにつられて、泣きながら笑う。「わたしもまた会えてよかったよ」と思いながら。
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