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5
「「カナメっ」」
「ねーちゃんっ」
いきなり至近距離に家族三人の顔が迫る。
「うわっ…こわっ」
一瞬シンとなり、直後、
「…っざけんなよっ! どんだけ心配したと思ってんだよ」と叫ぶ弟のユタカ。
「車にはねられたって聞いたとき、心臓が止まるかと思ったぞ」ベッド近くの椅子にストンとすわりこむ父。
「…でも……よかった」目尻を指で拭う母。
落ち着くと、目覚めた第一声が「こわっ」はないよな、と家族中でひとしきり笑った。
昔から観察力にすぐれたユタカがわたしを指差してさらに笑う。
「ねーちゃん、事故前にモロコシ食ったの?
歯にモロコシ、はさまってる…ダサすぎるだろ」
口に手をやろうとして、右手に巻かれた包帯に犬の毛らしきものが付いているのに気づく。
爆笑するユタカにつられて、泣きながら笑う。「わたしもまた会えてよかったよ」と思いながら。
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