18話:ホープスターズ・ステージ

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* 「あっははははははは!」 「ロアちゃん、私たち、完璧だったんじゃない!?」 「ふふ、っははは、そうさ梨心!笑いが止まらない!」  入口とは違う退陣用の通路で、梨心とロアは周囲を憚らずに抱き合って笑った。どうせ誰もいないのだ。これだけやってしまっても問題無い。  廊下の冷えた空気を頬に感じる。同時に、抱き合う相手の熱も身体全体で感じる。  極限の集中力でのパフォーマンス。緊張から解放された筋肉は弛緩し、力が入らない。魔力は使い果たされ、視界が歪む。脳が焼け溶けてしまうかのような熱。  そのすべてを棚上げして、流れる汗も涙も拭わずに、二人は感情を分かち合った。 「私たち、めちゃくちゃアイドルだった!」 「うん、最強のアイドルだった!」  結実した努力が見せてくれた景色は、全ての苦難と比べてもお釣りが来るほどの絶景だった。f02b8d53-5e4d-49b3-b8c9-28e4d0bd3f56
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