桜の樹の下には

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桜の樹の下には

(前略)  ああ、桜の樹の下には屍体が埋まっている!  いったいどこから浮かんできた空想かさっぱり見当つかない屍体が、いまはまるで桜の樹と一つになって、どんなに頭を振っても離れて行こうとはしない。  今こそ俺は、あの桜の樹の下で酒宴を開いている村人たちと同じ権利で、花見の酒が呑めそうな気がする。  ――梶井基次郎「桜の樹の下には」より――
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