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自室へと戻ったシルヴァンは、ソファへとその身を投げ出した。さすがに、疲れた気がしていた。いつになく疲労感を漂わせるその姿を、ウィリアムが心配そうに見遣る。
「大丈夫ですか? シルヴァン」
「ああ、すまないが少し休みたい」
「今日は大変でしたね。食事をもらってきますので、ゆっくりしていてください」
そう口では言いながらも、クロゼットを漁っていたウィリアムはシルヴァンの元へと歩み寄った。
パサリと、ソファの背凭れに掛かる布地にシルヴァンの顔が上がる。
「その前に……」
呟くような声が聞こえたかと思えば、シルヴァンの躰はふわりと浮遊感に包まれた。
「ッ!?」
「お着替え、しませんか?」
「まるで私が子供のような言い方だな」
「疲れてる時は、お世話させてください」
膝に抱えあげられたままシャツのボタンを外される。本当に子供のように扱われている気がして、シルヴァンは些か顔を赤くした。
ウィリアムの大きな手が、丁寧に服を脱がせてゆく。
「ウィル」
短く名前を呼べば手を止めるウィリアムへと、シルヴァンは口付けた。
「っ! ……駄目ですよシルヴァン…、このまま離したくなくなっちゃうじゃないですか」
「私は構わないが?」
誘うというよりも、挑むような色合いの視線に射抜かれて、ウィリアムがノックアウトされたことは言うまでもない。
幸い、シルヴァンもウィリアムも明日は終日待機である。多少夜更かしをしたところで問題もない。
「もう……、あとで無理だって言ってもやめませんからね?」
脱がせかけていたシルヴァンの服を、ウィリアムは手早く剥ぎ取った。曝け出された肌へと、愛おしむように口づけていく。
「シルヴァン、素敵です」
「お前は、脱いでくれないのか?」
「脱ぎますよ。けど……」
言いかけて、ウィリアムはシルヴァンの躰をそっと抱き上げた。
「ウィル?」
「ベッドへ、行きましょう?」
ウィリアムは、シルヴァンの躰を軽々と寝台まで運んだ。シルヴァンを降ろしてあっという間に服を脱ぎ去る。大きな躰が寝台へと上がり、スプリングが僅かな軋みを上げた。寝台へとついた両腕でシルヴァンを囲い込む。
「大好きです、シルヴァン」
大きな手が、そっとシルヴァンの頬に触れる。宝物を扱うかのような、丁寧すぎる愛撫がシルヴァンの全身を撫でていく。
「……っ」
時おり息を詰めるシルヴァンの声に、ウィリアムは紛れもない欲望を覚えた。
次第に力のこもるウィリアムの手が、シルヴァンの肌をくまなく辿る。そこかしこに口付けを落とされるたびに、シルヴァンの腰が僅かに揺らいだ。
「っ、……ぁッ、ウィル……」
掠れた声に呼ばれるのを合図に、ウィリアムは下の方で存在を主張するシルヴァンの雄芯をぱくりと咥えた。
「んぅッ、……あ」
シルヴァンの指が、ウィリアムの髪に潜り込む。堪えるようでも、誘うようでもあるその指に、ウィリアムは口内の熱を吸い上げた。同時に、後ろの蕾へと潜り込ませた指でゆるりと媚肉を抉る。
「あッ、ああっ……ウィ、ル……っ」
上擦った声がウィリアムの耳朶に流れ込む。指先を食む熱い襞は誘うように蠢き、離すまいとするかのように縁が収縮した。
下肢を刺激するたびに跳ねる腰に欲望を刺激され、やがてウィリアムは顔を上げた。
「シルヴァン……俺、もう……」
「ウィリアム……」
名を呼ぶ声とともに伸ばされた腕へとウィリアムは飛び込んだ。首筋に埋めた唇で囁く声が、意識せずに逸る。
「挿れて良い、ですか?」
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