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熱い吐息が耳元に囁いて、シルヴァンはこくりと頷いた。
「愛してます、シルヴァン……!」
張り詰めた熱棒が、狭い襞へと潜り込む。強い力で背中を掻き抱かれて、ウィリアムはこの上ない幸せを感じた。
「んッ、あ……っ、ああッ」
「シルヴァ……気持ち良い……ですっ」
「んっ……あッ」
熱い質量に腹を満たされて、シルヴァンの喉元が艶めかしくしなる。色香に誘われるように、ウィリアムは細い首筋へと口付けを落とした。
揺さぶられるたび、シルヴァンの口から嬌声が零れ落ちる。大きな躰に見合った雄芯が中の襞を擦りあげるたびに、電流にも似た快感がシルヴァンの全身を駆け巡った。
「ウィル……ッ、良いっ」
艶やかな声に誘われるがまま、ウィリアムは恋人の躰を貪るように抱いた。
◇ ◇ ◇
気だるい倦怠感に包まれて、シルヴァンは意識を現実へと浮上させた。手触りの良い布地の中で手を動かしてもひんやりとしたままで、いつも隣にあるはずのあたたかな熱がない。
「ウィル……?」
掠れた声で名を呼んでも、返事はなかった。見える範囲にも、ウィリアムの姿はない。どこかへ出掛けてでもいるのだろうかと、シルヴァンが再び目蓋を閉じた時だった、ドアの開く気配に閉じかけた目蓋を上げる。そこには、クルー用の食事が入った紙袋を抱えるウィリアムの姿があった。
「あっ、目が覚めましたか? シルヴァンっ」
「ああ」
「食事をもらってきました。今用意しますから、シルヴァンはゆっくりしていてくださいねっ」
どこか機嫌が良さそうにそう言って、ウィリアムはキッチンに立った。袋をがさがさと開くだけで、美味しそうな匂いが嗅覚を刺激する。
「今日はハンバーグとエビフライですよ」
「そうか」
「スープはコンソメですね。凄く美味しそうです」
出来合いの料理をレンジに放り込み、皿を並べたウィリアムは寝台のすぐそばへと歩み寄った。
「起きられそうですか?」
「大丈夫だ」
背中へそっとそえられるウィリアムの大きな手はあたたかかった。寝台から脚を降ろしたシルヴァンはだが、すぐさまふわりと抱えあげられる。
「っ、ウィル……、自分で歩ける」
「駄目、ですか?」
叱られた犬のような顔のウィリアムに苦笑を漏らし、シルヴァンは小さく笑った。
「お前は過保護だな」
「その、無理をさせてしまったので……」
もごもごと恥ずかしそうに言葉を濁すウィリアムの顔が朱に染まる。結局、たった数歩の距離をウィリアムの手で移動させられたシルヴァンは、そっと椅子の上へと降ろされた。
温まった食事を綺麗に皿へと移したウィリアムが、向かいの席へと腰を下ろす。
他愛もない会話を交わしながら食事を摂る。腹が満たされるにつれて、シルヴァンは自身が思いのほか疲れている事を自覚した。
「やっぱり、少し眠そうですね」
「そうだな。思ったよりも疲れたようだ」
「躰はさっき流しましたし、食事が済んだら寝てください。後片付けは全部しておきますから」
「ああ、悪いな」
「悪いだなんて言わないでください。俺は、シルヴァンの役に立てることが一番嬉しいんですっ」
にこにこと上機嫌のウィリアムが、ご丁寧にもシルヴァンを寝台まで運んだことは言うまでもない。然程の時間を要さずに規則的な寝息をたてるシルヴァンを、ウィリアムは幸せそうに眺めた。
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