裸の瞳

朝学習

高橋へ

毎朝、勉強をがんばって偉いな。
授業をちゃんと聞いているの、高橋くらいだろうね。
そう言えば、この前の金曜日、咳をしていたね。
風邪だったのかな、あまり無理をしないで。
夏風邪は長引くって言うし。
俺の方は相変わらず何のニュースもない。
学校は退屈だけれど、まあ、あと一年間の辛抱だしね。
高橋は大学どうするの？
俺はバンドを続けたいから、Ｗ大って決めている。
憧れのバンドマンがあそこなんだ。
高橋もそこにいきなよ、お前なら絶対に行けるから。
一緒に頑張ろう。

そうだ、高橋の母さん病気が治ったんだってね。
良かったよ。
何か困ったことがあったら力になるから。
俺を頼りにしてくれよ。
ああ、手紙って何を書けば良いか迷う。
けど、高橋の手紙を読むために書いているようなものだし。
まとまりのない内容でも、どうか許してよ。
俺たちだけの秘密を共有しているみたいだ。
それだけで俺は満足だから。
あとさ、学校で無視して悪い。
どうしても高橋を独り占めしたくてさ、笑うなよ。

あともう一つ、夏休みはどうする？
良かったら、一緒に遊ぼうよ。
高橋と一緒だったらきっと楽しいだろうな。
別荘があるから、そこをやぐらにして遊びまくろう。
なっ、絶対だからね。