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ジャックくんは私の手をキョトンとした顔で見つめており、そしておずおずと自分の手を重ねてきた。うん、握手だね! ジャックくんとの握手も嬉しいけど、今はそうじゃないんだ!
「えっと、ジャックくん……私の傘は?」
「へ? あ、傘! 傘ね!」
慌てて手を引っ込めたジャックくんは顔を真っ赤にして恥ずかしがっており、たいへんかわいい。本当にかわいいなぁ。
にまにまと彼のことを見ていると、ジャックくんは大きな声を上げる。
「やべっ! 傘、これしか持って来てない!」
これとはつまり、今ジャックくんのさしている傘のことだろう。
ジャックくんの顔がますます赤くなっていく。あぁあぁあぁかわい~~よ~~!
「ヒメコさん、ぜってー今オレのことかわいいとか思ってるだろ!」
「お、思ってないよ! そんなこと全然思ってないよかわいすぎかよこのやろー」
「思ってんじゃん! 最後本音駄々漏れじゃん!」
慌てて口を押さえるがもう遅く、ジャックくんはブスッとした顔で手に持つ傘をこちらに押しつけてくるので反射的に受け取ってしまう。
「これ、ヒメコさんが使って」
「え? でもジャックくんは?」
「平気!」
そう言って彼はまたニカッと笑うと小雨の中へと歩き出す。
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