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董 林泉「どうしてあの女を
寵愛なさるのかしら?」
黄 千住「意味が分からないわ…」
それからも馮琳は袁術に逢う度、
涙を流し続けておりましたが…
袁術「春來よ、着物ならばまた新しいものをそなたの為にあつらえてやるから泣かないでくれ…余はそなたに泣かれるのが1番辛い」
無論、董 林泉並びに黄 千住は馮琳と袁術を引き離すため偽の情報を教えたに過ぎませんが2人の予想通りとはいかず袁術はより一層馮琳を溺愛するようになりました。
董 林泉「まさかあの女がこのまま陛下の
皇后になるなんて事ないわよね?」
黄 千住「あんな歩く度に頭のネジを落としているような人間、誰が皇后なんかにするのよ…」
しかし…2人の不安は膨らみ続ける
ばかりでございました。
董 林泉「もしあの女を皇后にしたら
陛下はきっと他の女達を追い払うでしょう…。そうなれば私達はその日暮らしにも
困る生活となってしまうのよ…。」
袁術が建国した仲ではありますが…
豊かなのは袁術から寵愛を受けている
後宮の女達くらいで配下の者…庶民に
至っては袁術が敷いた悪政により…
重すぎる年貢を取り立てられていました。
「母上…もう…おらはダメだ…
先立つ不孝を許して下さい。」
「母より先に逝くなんて許しませんよ。と言いたいところですが憎き袁術のせいで私達には食べるものさえ最早残されてはいない…」
仲の国では袁術の建国からどれくらいの民が餓えて命を喪ったのか定かではないくらい
死者は右肩上がりに増える一方でした。
「後宮に女達を侍らすくらいならもっと
私達に食べ物を恵んでくれれば良いのに…」
袁術が庶民からの切なる願いを叶えられるような男ならばこんなに名声やら人望やらがだだ下がりするはずなどなく…
袁術「春來の笑顔を見るには、
どうしたら良いのかな?」
袁術の頭の中はどうすれば馮琳の涙を止め
笑顔が見られるのか?という事のみしか興味関心がないのでございます。
このような事態となった董 林泉と
黄 千住はまるで少女がそのまま大人になったような性格をしている馮琳に対して次なる罠を仕掛ける事にしました。
次なる罠は…
董 林泉「馮琳様、袁術様は紀霊様と仲良くしている奥方が好きみたいですよ?」
黄 千住「ええ、ですから紀霊様のところに行かれたらどうです?」
馮琳「そうなのですか?お2人共ご丁寧に教えて頂きまして本当にありがとうございます。」
こうして馮琳は今度もまた命の危機に繫がるような危険過ぎる罠を董 林泉と黄 千住から仕掛けられてしまいました。
こうして騙された事に気づかない馮琳は、
馮琳「紀霊様、もし良かったら私とお茶でも致しませんか?」
貞節を重んじるこの時勢にとんでもない事を口走ってしまったのでございます。
これにはさすがの紀霊も…
紀霊「さすがにそれはまずいですよ?」
馮琳からの申し出を慌てたような様子で
断ったのでございます。
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