第4章 終焉《エンディング》

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第4章 終焉《エンディング》

曹操「恐れ入ったか?子桓。」 時は西暦218年03月17日。 あの頃より20歳くらい歳を重ねた 曹操は不敵な笑みを浮かべていた。 背筋が寒くなるような話を聞くのが 何より大嫌いな曹丕は… 春うららの暖かい陽射しに 包まれながらもガタガタ その身を震わせていた。 卞蘡「殿、大人げないですよ。」 曹丕「何のこれしき…」 強がりを言いながらも その身体はまだガタガタ震えていた。 そんな中皆には… ある謎が浮かんだのだが… それを言葉にしたのが… 夏侯淵「殿はなんでそんなに 仲王朝の事に関して詳しいのです?」 夏侯淵(かこうえん)…字は妙才。 すると… 曹鈴(そうりん)「私が全ての真相を 養父殿にお伝えしました。」 凛とした声が聞こえたかと思ったら、 曹操好みのスラッとした美女が、 その隣に座ったのである。 夏侯覇「養父殿って…どういう事?」 雹華と甘い雰囲気を漂わせながらも、どうやら話の内容が気になるようで どこからともなく近づいて来た 夏侯覇だったが… 夏侯淵「お嬢にこんな父君ですらガタガタ身を震わせてしまうような話を聞かせられるはずないでしょ?」 夏侯淵から注意を受け、 その場から遠ざかる事にした。 夏侯淵「凛風に似て好奇心が旺盛なもんですみませんね…殿。」 夏侯淵が謝ると曹操は、 曹操「構わぬ…。昔の妙才を思い出して何だか懐かしさを感じる…。」 夏侯淵と自分が元服〈=現在で言うところの成人〉した頃に少しだけ思いを馳せてから… 曹操「仲王朝の初代皇后・馮氏に仕えていた蝶凌(ディェリン)と言えば…皆にも分かるだろう…。」 突如、現れた謎の養女について サラッと説明をしたのである。 そして… 曹操「蝶凌、もう1人仲王朝に詳しい者がおるであろう…呼んで参れ…。」 曹鈴「そう仰せになられると思い 既に後ろで控えております。」 曹操が言っていた馮琳の特徴に、 良く似ている40歳くらいの男性がおり その隣には15歳くらいの女性が、 満面の笑みを浮かべていた…。 名前は… 馮竴(ふうしゅん)… 字は美雨〈メイユイ〉 曹鈴「事の真相を知った私達は、 3人の妃達を糾弾しました。」 董泉も郭珠も孫華も糾弾しても 何も喋ろうとはしなかった…。 董泉「…私が何かしたという証拠は あるのでしょうか?」 郭珠「…証拠を出しなさい。 私を裁けるくらいの証拠をね!」 孫華「…私は何もしていない。 何かしたと言うなら証拠を出しなさい。この江東の虎姫を納得させられる証拠をね!」 曹鈴…この頃はまだ蝶凌は、 3人の悪事を暴くため劉纖と 一緒に証拠を探す事にした。 郭珠と仲良くしていた馮遵は、 何とか郭珠に自白をさせたが… 劉纖が馮琳の形見となった高級な布で 馮遵が後ろを向いている隙に… その命を奪ったのである。 曹鈴「皇后陛下のあだ討ちに仇と仲良くする必要なんかないのに…!」 馮遵の鋭い視線は容赦なく馮遵を貫き馮遵はバツの悪そうな顔をしていた。 馮遵「あれからどれくらい時が経ったと思っているんだ?俺達の間に産まれた美雨も元服を迎えたんだぞ…。」 馮遵よりもバツが悪そう…ではなく 顔色が悪そうな人がその時話を遮ろうとしていた。 それは… 曹丕「それ以上、言うな。 私は寒気がしている。」 曹操から積年の恨みを晴らされた曹丕でまるで病人と間違えてしまいそうな顔色をしていた。 曹鈴「…大丈夫でしょうか? そんなにお嫌なら止めますね…。」 曹丕から止められた曹鈴の告白だが それを…話すように言った者がいる。 それは… 曹操「ここまで来たら真相を知りたいのが人間の心理ではないのか?」 卞蘡「殿、幼い子ども達もいるのに、 あまり大人げない真似をなさるのはお止め下さりませ…。」 卞蘡から自身がどれだけ大人げのない人間であるかを指摘された曹操だが 曹操「気になるから仕方あるまい。」 卞蘡の言う事も聞かないので、 他に為す術などなく… 曹丕にとって悪魔のような時間は、 またまだ終わらなかった…。 但し… 曹操は曹鈴が話した通り、 全ての真相をもう既に知っていた…。 ちなみに… 董泉に関しては劉纖が馮琳の為に、 予備薬として渡した薬を飲ませて その命を奪った。 孫華に関しては… 蝶凌に聞いたところ馮琳が自殺する 少し前に孫華が古井戸の傍に置いてあった靴を借りていた事が判明したのでその命を奪ったのである。 そして… 劉纖は全てのあだ討ちを終えると… 馮琳の後を追い掛け自ら命を絶った。   劉纖「…今でも愛している。雪梅。」 曹鈴と馮遵が大切だった家族、 最愛の人達の事を偲びながら 生きる事を決めた矢先… 曹鈴は今は亡き劉纖との間の 子を宿してしまった…。 それは… 馮琳の死に嘆き悲しむ劉纖を 慰めていた夜の1度だけだった。 曹鈴「この子は春蕾との間に産まれた子だから私が1人で育てる事にするわ…。」 妊娠が分かった時、 既に所帯を持っていた曹鈴と 馮遵ではあったものの… 馮遵「妹を愛してくれた男性と俺を愛してくれる女性の間に授かった子だ。俺らの子として育てよう。」 こうして曹鈴は馮遵の子として 子を産み育てるために馮遵と共に 曹家に仕える道を選択していたので… 2週間の間に曹操は真実を知る事が出来て曹丕にお仕置きする事も出来るので養女として曹鈴を迎える事にして… 馮遵はその婿として曹家の軍師見習いとする事を決めた…。 更に… 曹操「蝶凌は姓を曹、諱を鈴、 字は今まで通り蝶凌とするが良い。 婿殿は字を破浪(ポーラン)とするが良いぞ。」   きっちり字なども決めて、 色んな支度をしていたので 花見の計画から実行まで2週間もの 長き時を必要とした理由はそこだ。 曹操「ちなみに…大量の彼岸花は、 破浪が雪梅の好きな赤い花の種を1つだけ植えたのだがまさかそれが彼岸花だったようで野生化した彼岸花が大量発生したようだ…」 袁術達の最期に咲いた彼岸花は、 野生化した彼岸花の種が誰かの服に ついて爆発的に増えてしまった。 しかし… 真相は判明したものの曹丕にとっては何とも後味の悪すぎるミステリー&サスペンスとなってしまった…。 曹丕「もう2度とごめんだ!」
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