第七章 N

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「あとはそうね……ブレイカーのことが気になるわよね」  Nが少し上を見て考える素振りを見せる。 彼女についても謎が多い。まず名前も本名では無いだろう。 どこで海豚と知り合い、どういった関係なのかも詳しくは話していない。 まあ情報屋だというなら、軽々しく自身の情報は明かさないだろう。  なんといっても情報屋は危険だ。情報を多く持っているということは、その相手からは確実に厄介な相手なことは間違いない。 だから海豚や香偲も油断せず、危険だと感じたら踏み込みすぎないようにしているのだ。 そうして気を張らなければいけないのだから、そう情報を明かせないのも理解は出来る。 それに怪しいとはいえ情報はもらえるのだ。……それが真実かどうかの精査は必要だが、少なくともヒントにはなることだろう。  今はとにかく彼女の言うとおり、ブレイカーのことを知りたい。 その手は確実に自分たちに迫っているのだから。 「ブレイカーは世間を賑わせている連続通り魔で、呪いの子にのみ「蜂南一家を知っているか」と聞いて回ってる。そうして相手を見極めているのだから向こうにも情報屋は居るのでしょうね。メンバーの数は……手分けが出来るならもっと被害者の数が多いはずだから、少ないと見えるわ」 「メンバーの詳細は分からないんですか?」 「そこなのよ。どうしても詳細が掴みきれないの。というより、やっとブレイカーに辿り着いたとしてもどれが真実か見極められないほど情報があるのよ」 朱里の問いかけに答えてからNは「まあ私もあまり大胆に調べれないから本気で調べたことは無いのだけれど」と小さくため息を吐き出す。 「きっと向こうの情報屋が小さいことから大きいことまで、嘘を混じえて情報を出してるんだわ。そうして真実を掴ませないようにしてる」 「なんとかブレイカーの情報を掴んだとしても、見極めるのに時間がかかるほどあるのか……」 厄介だ、と理央が小さく首を横に振った。  ようやくブレイカーに辿り着いたと思いきや膨大な数の情報。それもどれが嘘かも分からないとなると、かなりの労力が必要になる。 そうして見極めている間にも増えるとしたら……。 「永遠に捕まえられないのね」 恵美が複雑そうに眉をしかめる。 だから組織も時間がかかっているのだろうか。
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