39人が本棚に入れています
本棚に追加
「早かったな。サジューム」
ガイウスがサジュームに気が付いて声をかけた。ガイウスの背後にはテントが設営され、足元には竈のように石が組まれて、やかんに湯が沸いていた。
「店が閉まっていましてね。食事の調達は失敗でした」
サジュームは出来るだけ平静を装っていたが、ガイウスは緊迫した王都の様子を察して「気にするな」と言った。
そして、やかんからコップに湯を注ぐと、
「ひどい顔をしている。飲むんだ。白湯だか落ち着く」
と、サジュームにそのコップを押し付けた。
サジュームが腰掛けて白湯を啜っていると、いつの間にかアメリアを抱いたアークが傍に立っていた。
「聞かせてほしい」
アークが8歳らしからぬ厳しい表情でサジュームを見つめてきたので、サジュームはアークの前に膝まづいて、
「見たこと、聞いたことをそのままお伝えいたします」
と言った。
最初のコメントを投稿しよう!