4 月光

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 サジュームが話し終わった瞬間、アークはすでに涙でぐしゃぐしゃになっていた顔をさらに歪めて、獣の雄叫びのような叫び声で立ち上がり、のけ反った。そして、髪を振り乱して森の木立の中に入っていった。  すぐさま、ガイウスが抱いていたアメリアをサジュームに渡し、剣を握るとアークの後を追いかけていった。  サジュームは、アメリアの胸元に額をうずめると、大きなため息をついた。  アメリアの小さな手がサジュームの泥で固まった髪を触った。 「ああ、汚いよ。ごめんね」 とサジュームは顔を上げて、アメリアの手を軽く握った。サジュームの大きな手にすっぽりと入る小さな手を見て、サジュームはぼんやりと(ああ、そういえば風呂にいれなければいけないのだった)と思った。  日が暮れてきて、木の間からガイウスがアークを引っ張ってきた。  アークを寝かしつけると、ガイウスは火のそばまでやってきた。 「すみません」とサジューム。 「なんで謝る。お前こそ、嫌な仕事させて悪かったな」  ガイウスは、はぁとため息をついて膝の間に頭を項垂れた。彼は多くを語らず、先にテントに行った。  いつの間にか東の森の端から月が昇っていた。  サジュームは火のそばで道具を整理したり、火にくべるための枝を鉈で切ったりしながら火の番をしていた。  手を休めると、悲観的なことばかりが頭をよぎる。ガイウスと二人で、守るべきものを守りながら戦っていけるのだろうか、と。彼はまるで自信がなかった。 (今やれることは火の番くらいか…)
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