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5 湖畔の隠れ家
翌朝、全員で朝食をとった後、アークが口を開いた。
「昨日、サジュームが確認してくれたお陰で、叔父上が王位簒奪を目論み、反逆を起こしたこと明白になった。僕は叔父上、いやブライアンを決して許さない」
アークは、昨夜の取り乱した姿が嘘のように落ち着いていた。ガイウスもサジュームもアークの言葉を待つ。
「しかしながら、僕は幼い。そして非力だ。なんの後ろ盾もない。それでも、僕はこの一生をかけて父上や兄上の無念を晴らしたい。この国で、ブライアンに盾突く人間が僕一人になったとしてもだ」
「けして、御身一人にいたしません」
ガイウスがすかさず言った。それを聞いて、アークはガイウスに頷いてみせた。
「これは僕自身の戦いだ…。ガイウスもサジュームも他に望む道があるなら、僕はそれを止めない」
「すでに道は一つ。御身とともに」
サジュームはそう言ってアークに頭を下げた。それに続いてガイウスも「御身とともに」と言った。
「…ありがとう」
アークは感極まったように、言葉を詰まらせた。
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