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「さて、そうと決まれば、これからの話ですが」
と、サジュームが場の空気を変えるように話を切り出した。サジュームは昨晩、精霊と思われるものと語り合ったことを思い返していた。
彼女は自分のことをミウと名乗った。
そして、サジュームにこの世界のこと、アナトリア王国で何が起こったのかということを知りたがった。現状を説明しているうちに、サジュームの中で絡まった糸が解けていった。
「現在の皇太后様の扱われ方を明確にしたほうがよろしいかと。それ次第で対応が大きく変わると思われます」
「おばあ様は先週、ご実家であるアクィナス公爵家領地にお戻りになっているはず」
「このタイミングでの帰省をどう読めばよいのか。アクィナス公爵領で軟禁あるいはどこかに移送されているならアクィナス公爵は敵です。そうでなければ、取り入る余地はあります」
「他には」
「ウマイヤ王国との対立のため、王直下の軍が少なくなっている今が狙われたのだと思われます」
「では、ウマイヤ国境に派遣している部隊は、これを知ってどう動くと思うか?」
「分かりません。ペリクレス辺境伯とクロウ将軍次第かと」
「彼らが、ブライアンと通じているかどうかがカギだな」
アークはもう叔父上とは呼ばなかった。
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