5 湖畔の隠れ家

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「近衛の連中はどうしたと思う?」 とガイウスが訊くと 「はっきりと言えませんが、王が討たれた以上、反逆に加担していないものは王都から落ちのびるしか選択肢がないように思います」 とサジュームが答えた。 「…そうか」  ガイウスは腕を組んで黙ってしまった。 「では、まずはおばあ様の動向を知らねばならない。サジューム、任せていいか?」とアーク。 「はい。承知しました」  サジュームはアークに頭を垂れた。 「諸侯の動向がはっきりするまで動かないほうがいいだろうな…」  アークが自分に言い聞かせるように言うと、  「では、我々は住まいを整えていくことを頑張りましょう」 とガイウスが言ってアークに笑いかけた。  このときから、アーク、ガイウス、サジューム、アメリアの4人での隠れ家生活が始まったのだった。  それからしばらくは森で生き延びるため、彼らは狩猟をしたり簡単な生活雑貨を手作りしたりしながら日々をしのいでいたが、一月ほど経ったころ困った状況に陥った。  アークが情緒不安定になり、テントから出られなくなってしまったのだった。  きっかけは、仕掛けた罠をガイウスと回収しに森に入ったところ、偶然人を見かけたからだった。
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