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「…本当にいるんだな。精霊が」
ガイウスは、一歩遅れてサジュームについて行き、その隣に座ると
「いやな。前に、お前が夜に一人でぶつぶつ言っているのを見て、サジュームも少しおかしくなったのかと思っていたんだ…」
と言った。
「なんですか、それ」とサジューム。
「…精霊と話していたんだなぁ。安心したよ…本当に」
とガイウスは心から安堵した表情で言った。
「ガイウス、あなたには見えないんですね?」
とサジュームが訊くと「ああ」とガイウスが答えた。
「何にせよ、これでアーク王子も安心されるだろう。ミウという精霊、感謝する」
ガイウスが闇に向かって頭を下げると、
「そっちにはいません」
とサジュームが言った。
「見えねぇんだよ!そっちか!」
ガイウスは怒りながら再び違う方向に頭を下げるので、サジュームは笑いを堪えるのが大変だった。
ガイウスがテントに入ると、
「これで良かったのかしら」
とミウがサジュームに声をかけた。
「良いです。こんな結界魔法、聞いたことも見たこともありません」
「そう…。お役に立てて良かった」
ミウはそう言うとすうっと闇に消えていった。しばらくすると、蒔がはぜる音に混じって、アメリアの寝息が聞こえてきた。
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