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彼は、王族を警備する近衛騎士として王宮に仕官するも、3番目の王子付きになったことから実家からは外れを引いたと謗られる羽目になったのだが、この王子の人柄と聡明さに触れ、一生かけてこの王子を守ろうと誓っていた。
自らも男爵家の三男に生まれ、実家ではぞんざいに扱われていたことがより王子への強い思い入れに繋がった。
この若い騎士こそ、後にアナトリア王国史上最も若くして将軍に任命されるガイウス・テオドシウスその人だった。
長身の男も、腹を決めたようだった。
「実は、2人抱えて魔法で飛ぶのはリスクが高いと思っていました。4人で家族のフリをして逃げるもの悪くない」
彼は、改めてしっかりと赤ん坊を抱くと甘い香りがして、突然の拾い物であるそれが天からの贈り物に思え、深い絶望に微かな希望の光が差し込む気がした。
この魔法使いこそ、後に「氷の賢者」と呼ばれるサジューム・ペリクレスであった。
「では、その子に名をつけないと」
二人の大人のそばで、素早く状況を理解してサジュームの腕の中を覗き込んでいるのが、当時のアナトリア王国第三王子のアーク・アナトリアであった。
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