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epilogue 本屋さん
「恋する2人は目撃者にはなれない〜second season〜」の特集コーナーをせっせと設置している。副店長の業務をうっちゃって僕の手で作った。企画から発注にPOP書き、実際に並べるところまで。
「おはよう、気合い入ってるねえ」
「おはようございます」
ポスターは版元から数種類送られてきた。店長にも見てもらう。廉が畠山洸希と背中合わせで拳銃をかまえてポーズをとって大きく写っているものを独断でいちばん目立つ場所に貼った。職権濫用かもしれない。
「売れてる?」
「ええ、かなり。視聴率も高いようですし、来月には、ドラマオリジナルの脚本を佐藤先生が逆に小説として書き起こした本が出ます」
わくわくしながら、僕も毎週の放送を楽しみにしている。
前のシリーズはもうおととしのことなんだ、と改めて考える。本当にいろいろなことがあった。そして僕は今、ここであいかわらず書店に勤めている。
廉とは、電話やメールでやりとりをしている。はがきも届いたっけ。行っていたことも知らなかったロケ先の地方からふいに送られてきた。僕が東京に研修会議で行ったとき、撮影の合間でいっしょにごはんを食べたりもした。あいかわらず忙しそうだ。
光の入る大きな窓の外を見る。今は午前中だから明かりは灯っていないが、暗くなればけやきの並木はイルミネーションで彩られる。
今度会う約束をしている。
クリスマスに休みを取るなんていつぶりだろう、いや、はじめてかもしれなかった。学生の頃ですら、デートをしたいというアルバイト仲間に頼まれて出勤を代わってやっていた気がする。僕が二十四日は夜まで仕事があるから、廉がこちらに来てくれることになっている。
それから。
近いうちに、廉とのことを家族に話すつもりでいる。両親と妹。実際に顔を合わせたときどの程度話せるか、どこまで理解してもらえるかはわからない。けれど決めた。
いつかいっしょに暮らすための第一歩だ。廉といっしょにいるだけじゃない、となりで生きるために。
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