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と、道真様は目を細めて梅の木をみあげ、それから私の方を向いてふっと微笑んだ。
「宣来子はもちろん連れてくるが、梅が散らぬうちに、三人でも花見しないか?」
私は目を丸くして、それからパッと心の蕾が花開いたような気持ちになる。
道真様と、お花見……っ!
しかも私の分身で、世界で一番大好きな花を、梅を。
梅と宣来子様を嬉しそうに見つめる道真様や、いつも私の梅を褒めてくださる宣来子様、その二人と一緒にいる私、咲き誇る美しい梅。
その光景を想像すると、嬉しくてたまらなくて、体中うずうずする。
「はい、ぜひ!」
私が思わず前のめりになると、道真様は声を立てて笑いながら、私の頭を優しくポンポンとなでた。
「そうか、なら宣来子にも知らせておく。楽しみにしているといい。……しかし今日はその前にまず、仕事をしないとな。飛梅、今日も頼む」
「はいっ。任せてください!」
私は大好きな道真様のためなら、なんだってできるから。
どんなことでも、頑張れるから。
道真様、どうかこれから未来も……道真様が、私を頼ってくれますように。
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