強運な幼なじみ

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 ほの香が私の聞きたい事を代弁してくれた。 「自分でも不思議なんですけど、消したくないんです」  里至は笑っているとも泣いているとも取れる表情を浮かべた。 「姓名判断、星占い、手相、タロット、四柱推命、数秘術——あとなんだっけな。とにかく様々な占いに行ったんです。その中には明らかにインチキなものもありましたけど、良い事しか言わなかった。手相では、アポロンと呼ばれる星紋があって芸術家に向いていて、人気者の相だって言われたかな。絵は昔っから下手で結果を聞いて笑ってしまったけど。どこへ行っても最強の運だと占いが出てしまうんです。だからこそイメージの良くないホクロは消せない。自分でもおかしいと思ってるんです」 「何をよすがにして、心のバランスを取るかは人それぞれです。それにどんな形にせよ、頼って頂けた事は嬉しいです。そういえば、聞きそびれてしまいましたが、村木様はどうしてこの館をお知りになったんです? 街中から離れた住宅街にあって、有名とは言えません。お客様の多くはご友人の紹介で来られる方が殆どなんです」
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