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「それは、たまたま仕事でこの辺りに来た時に見つけたんです。辺りをうろうろしていたら、一ノ瀬さんが泣きながらこの館から飛び出して来たのを見ました」
「えっ。私ですか?」
「占いの先生にすごく厳しい事を言われたのだと思いました。それで、辛口の先生なら接待の様な占いではなくて、本当の事を言ってくれるのではないかと期待してしまいました」
「ごめんなさい。それ——」
落とした推しのグッズが見つかったという知らせに感極まっただけなのだと話した。
「僕も、自分の勘違いに笑うのを必死に堪えていました」
受付の時に口数が少なかったのはそのせいだったのかと合点がいく。
「さて、占いはどうしましょうね」
「あっ、あと五分しかない」
「都合の良い日にちに、一ノ瀬に占いをさせて頂けませんか?」
「えっ、先生」
「良いんですか?」
里至が食い気味に返事をした。
「いちかさん、出来る事を精一杯おやりなさい」
「よろしくお願いします」
二人からの強い圧によって来週末に占いをする事になってしまった。
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