強運な幼なじみ

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「ありがとうございます」 「ごゆっくり」  ほの香は恐縮する二人を面白げに見て、二階へ上がって行った。 「村木様……いえ、里至君。黙っていてごめんなさい。もう分かってるかもしれないけど、私、小野いちかです」 「やっぱりそうなんだ。雰囲気でそうかなって。マスクもしていたし、まさか占いの館で会うと思ってなかったから確信持てなかったんだ」  里至が背中を丸くしてルイボスティーを飲んだ。 「猫背、変わってないね」 「え?」 「そうやって絵を描いてたよね。今は描いてないの?」 「……俺、要領良くないからさ、仕事だけで手一杯なんだ」 「そっか」 「そっちこそ、占い師を目指してるなんて思いもよらなかったよ。だって、俺のせいで嫌いになったはずだろ?」 「嫌いなもの程、勉強してやっつけたい! みたいな気持ちになるんだよね。占いも最初はそんな感じだったの」 「何だそれ、面白いな」 「名前はお守りみたいなものだって言ってたでしょ? 本当だなあって思うんだよね。苗字は変わるかもしれないけど、名前は一生でしょ? だったら、名前と仲良しの方が良いなって」 「名前と仲良し?」
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