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「そっか。俺も悪い所ばっかり探すの止める」
「あら、せっかくの顧客が」
最後まで言う前に額をピシリと叩かれた。
「そういえば、一ノ瀬ってどこから来たんだ?」
「兄の彼女の苗字なの。紹介されたばかりで頭にあったのね」
「そうなんだ。ちょっと、混乱したよ」
「ごめんごめん」
「色々、気を使ってくれたんだろ?」
私は申し訳ない気持ちで首を振る。
「あちこち占いに行ってた時に美味い店も見つけたんだ。今度誘うよ」
「怪我の功名ってやつね」
「まあな。次に会う時は占い師になってるのかな。楽しみにしてるよ」
「うん。私も」
去っていく里至の背中に「また会えたね、また会おうね」と呟く。
「いちかさん、話は出来た?」
「はい。ありがとうございます」
「あなた達、二人ともオーラが淀んでたのに、綺麗さっぱりしたものね」
「先生が本音を引き出してくれたおかげです」
ほの香は満足げに微笑んだ。
「でも彼、また来る事になるんじゃないかしら」
「え?」
「強い運気があるという事は、変なモノも寄って来やすいのよ。パワーが続く間は大丈夫なんだけど、疲れて来ると一気にね」
「せ、先生。怖い事言わないで下さいよ」
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