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「小野いちか——なるほど」
ほの香が私の名を記し、それぞれ画数を書いていく。
「彼女は快活な人気者という面とトラブルや孤立という不遇な面も持ち合わせる、いわゆる吉凶混合ですね」
「彼女は優しくて嫌われるような子ではありません。ですがこの結果によって、彼女が何かを失敗すると名前が凶数だからと皆がからかう様になったんです」
そして、私の意識がすべて里至に向くようになってしまった。
「これ、どう思われます?」
そう言って腕時計を外して手首のホクロを見せた。
「とある占い師さんは幸運を運ぶホクロだから絶対に取るなと言いました」
「ホクロでの占いは専門ではないのですが、最後はご自身がどう感じるかだと思いますよ」
「先生がそう仰るならそうなんでしょうね。でも、ほの香先生にはどう視えているんですか?」
「——どういう意味でしょう」
「先生はオーラが視えるんですよね? 昔の雑誌のコラムで見ました」
ほの香は挑戦的とも取れる言動にも冷静だった。
「大昔の事ですよ。それに近しい間柄でのお遊びでしたし」
「でも——すみません。先生を困らせたい訳じゃないんです」
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