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雪の結晶が肺を刺激する12月 目的も分からずただ一歩一歩前に進んでいく12月 そんな男を嘲笑うかのように都会はイルミネーションで光り輝く。 平坦な畦道を歩いていると吹雪はおろか、顔が凍りつくことさえ忘れてしまった。 石膏のように固まった足を動かしても畦道は続くばかりである。 十円玉で埋め尽くされた財布は底をつきはじめ、コンビニも街灯さえもどこへ消えたのか。 稀に通る車は男の存在すら気づかぬままトンネルの闇へと入り込む。 静峠村 名前も聞いたこともないような田舎町 住民の存在も民家も確認できぬまま男は歩みを進める。 ここで仮眠をとってしまえば、誰にも見つからぬまま骨になるだろうと男はひたすら歩き続けた。 もう二日間は眠っていない。 しかし生きる希望はきっと見つかる。  そんな微かな光を追い求め男は歩く。
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