第1話 一万円男

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そして、アドバイスしてくれる。「希望企業を絞るのも良いけど、ひとつぐらい内定貰っておいた方が良いよ。万が一と言う事もあるから」 「そうよね。ありがとう。そうするね」 余裕の笑顔で応えるが、内心は焦っている。 実は、私だって2社ほど受けたのだ。自信はあった。でも、なぜか受からない。 自分の事を東大生のようにすごく優秀だとは思っていない。でも、一応名前を知られている大学に在籍しているし、成績も良い方だ。ゼミやサークル(コロナであまり活動できなかったが)でも中心的な役割を果たした。 それらを見ているから、周りの友達は『優秀だ』と思っているのだろうし、自分でも『悪くは無い』と思っている。(正直に言えば、自分はかなり出来る方だと思っている) なのに、何故・・・。 3月の会社説明の時は自信満々で、色々な会社が自分を手招きしている気がしていたのに、今は、就活のブラックリストに私の名前が載っているのではないか、と思えてしまう。
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