第6話 株主総会

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「ただ、社員のことを考えた場合、第三者割当は必ずしも悪いことではない。今のファーストステップは社員も2500名を超え、かなりの会社になっているが、事業はほぼ一本足じゃ。今はとても順調じゃが、もし、流れが変われば、あっという間に傾く。Z社と連携していれば経営は安定するじゃろうから安心する社員もいるじゃろう」 株主の利益と社員の安定を考えれば第2号議案は賛成すべきで、夢を追いかけるなら反対すべきなのだろう。夢を追いかける方が魅力的だが、でも、夢を追いかけて転けたら社員はどうなる? 2500名もの社員が、その家族が困ることになる。 「お嬢さんは、どうなのかな?」 「正直迷ってます」 「まあ、代理なら元の方の損になるようには動けないか」 「いえ、そんなことは気にせず、私の思うとおりに、と言われてます」 「それは益々、迷うわな」と言って、笑った。 時間になり、総会が始まった。 シーンとした会場に、社長を初め経営陣と思われる人達が一礼しながら入ってきた。 「あれが、社長の馬場さん。いつもはその後に副社長の千倉さんが続くのじゃが、三ヶ月前に事故で亡くなってしもうた。寂しいものじゃ」
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