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「お嬢さん、何か質問はないかね」後藤さんが明らかに周りに聞こえる様に少し大きな声で私に向かって言った。
(え? 私? なんで急に振ってくるんだ!)慌ててクビを横に振った。
そのやりとりを見ていて議長が私の方を見て声を掛けた。
「お嬢さん、失礼、先ほど質問された方がお嬢さんと呼ばれていたもので・・・、何かございましたら何なりとご質問下さい」
みんなの視線を一身に浴びてしまって完全に舞い上がった。
「な、無いです。ありません。大丈夫です!」
私の慌てぶりに、会場が少し和んだ。
議長もにこやかに微笑んでいたが、その期を逃さず言った。
「他に質問が無いようでしたら、決議に入らせて頂きます」空気がピーンと張り詰めた。
私も背筋を伸ばした。その時、私は既に第2号議案の賛否を決めていた。
第6話 完
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