第7話 大事な決断

2/11
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
「ありがとうございます。どうぞ、お手をお降ろし下さい。今、集計しておりますので、しばらくお待ち下さい」 5分ほど後、スタッフがメモを弁護士に見せ、それを弁護士が確認し、弁護士とスタッフ一緒にメモを社長に渡しながら何か説明していた。議長(社長)が頷いた後、会場を向き発言した。 「第2号議案は、賛成数が2/3に達しませんでしたので、否決されました」 会場にどよめきが起こった。「そんなバカな、ちゃんと集計したのか」という声がした。 続いているざわめきを鎮めるように、議長(社長)が発言した。 「ご承知の通り当社の大株主に朝倉様がおられます。本日は朝倉様の代理の方が参加されており、その方が賛成されませんでした。詳細な集計結果は精査の上、後ほど発表しますが、現集計段階で賛成票は61%を超えておらず、精査しても修正の可能性は±1%程度で決議結果に影響を与えるものではありません」 その言葉で、またどよめきが起こった。朝倉が反対したならこの議案は否決だろう、とそれはみんなが納得したようだ。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!