第7話 大事な決断

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だが、今まで関与しなかった朝倉がどうして関与したのか、それも本人はあくまで表に出ず代理人を通して反対してきたのか、そもそも誰が朝倉の代理人なんだ、という雰囲気がひしひしと伝わった。 そして最初に質問した40歳代の男性に視線が集まっていた。私も、しっかりした意見を表明した彼が代理人だろうと思った。 新たな取締役に選任された向井さんが挨拶し、社長が総会参加への感謝と今後の会社経営への支援をお願いして、株主総会は終わった。 「いや~、こういう事もあるんだな。びっくりだ。久々に面白い株主総会だった」後藤さんが言った。 「まさに、会社の方向性を決めた一瞬でしたね~。って、その前に、何ですかあの振りは!」 「ごめん、ごめん、何か言いたいことがあるのかと思って・・・。でも、場が和んで結果として良かったじゃないか」 「まったくぅ!」 「向井君が取締役になったら、今後この案は社内からは(取締役会では3:2で反対されるので)出てこないだろう」 「では、再燃しない?」
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