第7話 大事な決断

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「いやいや、株主提案という手がある。ファンドが同様の案を株主総会にかける事はできるが、朝倉さんが反対するなら、やはり承認はされないだろう」 そんな事を話していたら会場を出るのが最後の方になった。まだ、混んでいる廊下をエレベータホールへ向かって歩いていると、後ろから声が掛かった。 「後藤さん、ご参加ありがとうございます」向井さんだった。 「おお、向井君、取締役就任おめでとう」 私も続けて「おめでとうございます」と言った。 「ありがとうございます。まあ、今日でリセットして、全てこれからですけど」 「向井さん、後藤さんとお知り合いなんですか?」 「後藤さんは、Z社の総務部長だった方だ。ファーストステップ設立間もない頃、Z社と取引があってね。その縁で会社総務のあり方を一から教えて貰っていたんだ」 「え~、Z社の方だったんですか。良く、第2号議案に反対しましたね」 「元じゃよ。その頃良く朝倉さんと話をしたものだ。そして向井君ともな。今じゃ、ファーストステップのファンになっとる」 それでファーストステップの事をよく知っていたんだ。 「それより、お嬢さんは向井君と知り合いなのか」
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