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半年後
幸子は心の傷が癒えないまま、半年が経とうとしていた。
家にいると落ち込んでしまうと思った幸子は一人買い物を楽しんでいた。
ここは光の商店街でマスコミに取り上げられていたが幸子にとっては、ただの地元の商店街でしかなかった。
周りはそれにしてもカップルが多いいなー。日曜日だから仕方ないけど。
心でそんな事を思いながら一人買い物を楽しんでいた。
すると後ろから「小柳さーん」と呼ばれたような気がした。
「誰?ここは会社の人には会わない場所だし〜?」そう思いながら幸子は後ろを振り向いた。そこに立っていたのは会社で幸子にとても厳しく指導をする幸子が一番苦手な上司の二階堂茜だった。
「げっ!何でこんなところで仕事が休みな時にまで絶対に会いたくない人」心の中で幸子は呟いた。
普段幸子に厳しい二階堂は幸子に言った。
「小柳さん。小柳さんの事が心配だったの〜偶然ね。こんなところで会うなんて。丁度私も買い物してたところなの。何だか疲れちゃったわ。そうだ、あそこの喫茶店ちょっと付き合って」
二階堂は道路を挟んだところにある喫茶店を指で指した。
幸子は「えっ?最悪なんだけど〜二階堂先輩と二人でお茶?なるべく早く切り上げて早く帰らないと」
その時、二階堂は言った。「私に厳しい事また、言われる?とか思ってるでしょう。大丈夫よ仕事が休みの時まで怒らないわよ。さあ、寒いから早く喫茶店の中で暖まりましょう。それにしてもクリスマスが近いせいかしらね。こんなにカップルが多いなんてね。光の商店街なんてカップルが喜びそうな名前、誰がつけたのかしら?小柳
さんもう大丈夫?」
小柳は喫茶店の席に着くと二階堂にそう言われた。小柳は「はい、大丈夫です。あんな浮気野郎こっちからお断りです」二階堂にそう言うと二階堂は重い口を開けて言った。
「小柳さん。高田竜馬君の事知ってるの?竜馬君が〜知らないなら私からは何も言わない方がいいと思うけど〜小柳さん結婚する予定だった日は来月だったわよね?もう一度式場を見てきた方がいいわ」二階堂にそう言われた小柳は二階堂が何を言いたいのか?わからなかった。
小柳は聞いた「あの〜先輩何か言いたいなら言ってください。高田さんの事はもう吹っ切れていますから」
小柳にそう言われて二階堂は自分の黒いバックから一枚のハガキを出した。
二階堂は「実は〜これなの!」
小柳は「これは?あの人、式場キャンセルしなかったって事ですよね?私達が挙げようとしてた結婚式場で二人は結婚するってことですよね?」
二階堂は「そうね。小柳さんの結婚式場の名前と今回の高田さんの結婚式場の名前同じだものね。それを小柳さんが知らないとしたらあまりにも小柳さんが可哀想だと思って知ってるのか?どうか聞きに来たの?それに、小柳さんを一人にしておけなくて、私の前で泣きたい時には泣いていいのよ」
小柳幸子は「竜馬は私達が挙げるはずの式場をキャンセルしないで香との式に使いキャンセル料をケチったって事ですね」
二階堂は「そうねー」そう俯いた。
その時、幸子の携帯に着信があった。
「誰なのかしら?」
そう言って携帯を持つと画面には「セントラルウエディング」そう書いてあった。
小柳は携帯電話を握りしめて携帯で話をした。
「はい、何でしょうか?」
「セントラルウエディングの木漏れ日コース担当のものですが12月24日木漏れ日コース高田様と小柳様でよろしいんですよね?木漏れ日コースで木漏れ日の部屋で〜打ち合わせ通りですが新婦様の名前と招待客が急に変わったので?お電話で確認いたしたく〜」式場のスタッフは小柳にそう言った。この時、小柳はやっぱり高田は私達が式をあげようとした式場をキャンセルする事はなくそのままその式場で新婦の名前と香の招待客だけ変えたのだ。
小柳幸子はセントラルウエディングのスタッフに言った。「新婦はもう私ではありません」
式場のスタッフは慌てて事情を察したのか?
電話口で「す、すいませんでした」そう言って慌てて携帯を切った。
小柳幸子はしばらく黙って喫茶店で頼んだ珈琲を少しづつ口に運んだ。
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