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先輩
小柳はしばらく有給休暇をとり会社を休んでいた
二階堂茜とお酒を飲んだ次の日、小柳は会社に電話を掛けた。
どうしても小柳は二階堂に謝っておきたかった。
二階堂の優しさが今の小柳の胸に突き刺さっていたのだった。でも、小柳は二階堂に謝る事ができなかったのだ。
二階堂は身体を壊して入院しなければならない病気だったと小柳は聞かされた。
会社では一部の人にしか話さず、ひっそりと会社を辞めていき私の愚痴を最後に聞いてくれたのだ。小柳は心の中で思っていた。二階堂先輩はなんて心が優しい後輩思いの人なんだろう。小柳は心から二階堂を尊敬した。
そして会社に掛けた電話に出た同期の泉翼は小柳に言った「二階堂先輩に口止めされてたんだけど、二階堂先輩はお前の事、仕事ができる人間だっていつも言ってたぞ。
妹みたいに可愛いって、だから私の後を継がせたいってさ。
それにお酒飲んだんだって?先輩はお酒禁止だったんだぞ?体調悪い様子とかなかったのか?」
小柳はそう言われて「そう言えば、何度もトイレに行ってた。私がお腹壊したんですか?って言うと大丈夫よ。お腹冷えたのかしら?って言ってたわ」
泉は「先輩胃潰瘍なんだよ。病院に俺が付き添ったから間違いないよ。誰にも言わないでって口止めされてたからね」
小柳は「病院どこ?お見舞い行くから教えて」
何度尋ねても泉は決して教えなかった。
二階堂に口止めされていると言うばかりだった。
そして同期の泉は小柳に言った。
「プロジェクトリーダー小柳お前に決まったよ。二階堂先輩がお前を推薦したみたいだよ」
泉のその言葉に小柳は受話器を持ちながら泣いていた。
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