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 小柳幸子が眠りについてからどのくらいの時間が経ったのだろう?  幸子は夢の中にいた。 「ここは?夢?あれは〜おばあちゃん?おばあちゃんが出てくるって事は〜夢なんだね。おばあちゃん何であんなに早く死んじゃったの?」 小柳は泣きながら言った。  「ごめんね死にたくなかったんだけどね。仕方ないよ運命だからね。それより幸子は友達にも恋人にも裏切られているよね。  ばあちゃん心配だよ。これから少しだけ未来を教えてあげるよ。今、住んでいるアパートの更新時期だよね?  そこじゃなく駅の側のメゾン南に住みなさい。  そこに住むと家賃の支払いが初めは苦しいかも知れないけど、大丈夫だから住みなさい」 「おばあちゃん。今のアパートより二万円も家賃高いし駅近だからしょうがないけど私の職場じゃそんなに高い家賃厳しいよ」  おばあちゃんは幸子に言った「大丈夫よ。それより、アパートに住んだら貝綾香さんに声をかけて友達になりなさい。 そしたら今まで運がなかった幸子も運が開けてくるから。ここまで未来を教えてあげる先祖なんてなかなかいねえぞ」おばあちゃんはそう言って夢の中で消えて行った。  小柳はあまりにリアルな夢のような気がして 今の住み慣れたアパート(コスモス)を更新せず駅近のメゾン南に引っ越した。  小柳が両隣にお菓子を持って挨拶をすると隣にはおばあちゃんが夢でも言った通り[貝]さんが住んでいた。小柳幸子は「えっ?本当だおばあち ゃんの言った通りだ、もしかして名前は綾香?」そう心の中で呟いた。  「私は夢の中でおばあちゃんに言われた通り貝さんに話しかけた」 「私、この辺りで知り合いもいなくて〜仲良くしていただけたら嬉しいです。あの〜これ挨拶の印に」幸子は勇気を出して貝に話しかけた。 「あっ、ちょっと待ってもしかして〜二階堂さんの知り合い?この間喫茶店で二人でいるところを見かけたから。  私ね二階堂の学生時代からの悪友の貝綾香といいます。これから二階堂のお見舞いに行くんだけど一緒に行きませんか?」  小柳は即答した「はい、行きます。私、二階堂先輩にまだ御礼言ってないので」  貝綾香は「御礼?あの子またお節介焼いたのね」  貝はそう言って笑った。 小柳は「お節介?会社では厳しい人だという印象でしたが」  貝は言った「あの子は誤解されやすい子なのよ。本当は誰よりも優しくて世話好きで困った人を放っておけない人なの。  だからいつも人のことばかり考えて行動する きっとそのせいね今回の胃潰瘍が悪化したのは。  もしかしてあなたかな?綾香の仕事引き継ぎ任せたのって?凄く仕事ができる後輩がいるって聞いたけど?」 小柳は「先輩がそんな事を〜確かに引き継いだのは私です。とにかく病院行きましょう。  病院知ってる人がいてよかったです。私どうしても御礼を言いたくて」 「わかったわ。じゃあ駐車場まで行きましょう。私の車で案内するわ」  貝はそう言って初対面の小柳を駐車場まで案内してくれた。 小柳は貝綾香に聞いた 「初対面なのに済みません病院にまで一緒に行ってくれて」 そう言うと貝は言った。 「二階堂の知り合いは私にとっても大切な人だからね。粗末に扱ったら二階堂に怒られるからね。二階堂怒ると怖いでしょう?」 小柳は「確かに〜」そう言って笑った。 おばあちゃんが夢で言った通りのた通りの未来だった。 それからおばあちゃんは小柳幸子の夢の中に毎晩出てくるようになるなんて思いもしなかった。  この貝綾香との出会いから小柳幸子の運命は大きく変わる事になっていった。
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