19 密事

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19 密事

 なんとかオリヴィエの夜着を頭から脱がせると、どこもかしこも真っ白なオリヴィエの身体を舐めるように見回すから、恥ずかしくなって胸元を隠した。 「隠さないでみせろよ。他の男に舐めまわされた可愛い乳首」 「はあ? なに恥ずかしいこと言ってるの? 兄様!」  自分とは違い筋肉で覆われた逞しい兄の腹部を照れ隠しに、げしげしと軽く蹴りつける。  レヴィアタンはそんな攻撃はものともせずにシャツを脱ぎ去り、逞しい上半身を弟に目の前に晒す。オリヴィエもそんな兄の姿を艶めかしい目つきで見上げてしまった。 「兄さま、やっぱり綺麗で凄く恰好いい」 「そうか? お前のが綺麗だよ」  レヴィアタンは牙をゆっくりとおさめながら男っぽくも淫蕩な顔つきでオリヴィエの首筋に顔を埋めてすんすんと匂いを嗅いできた。 「くすぐったいよ、兄さま」  部屋に漂う香りに催淫効果があるのか、オリヴィエの身体はすっかり熱っぽくとろとろと感じ入って、そのせいか普段よりもずっと濃厚な男を誘う匂いを発していた。さながら蜜を湛えた花のようだ。 「たまんねぇ匂い。もう沢山嗅いでもいいかと思ったら、嬉しすぎて死にそうだ」 「死なないで」 「ずっと我慢してた。こんな風にしたら多分、俺お前の事、本当に喰っちまうんじゃないかって怖かった」  そう言いつつも兄はがぶっと首筋に噛み痕を残した。勿論牙ではない。そんなことをされたら一発でオリヴィエはあの世へと旅立ってしまうだろう。 「オリヴィエ、全部喰いたい」 「んあっ」  だが愛する人から受けるマーキングのような行為はその痛みすら快感に変わり、オリヴィエは小さく腰を振って一度達してしまう。その青臭い香りは魔族のレヴィアタンからすると甘く蠱惑的に感じる。 「ふふ、気持ちいい。兄さま、全部僕を食べて。兄さまと一つになれるなら、僕それでもいいよ」  オリヴィエの挑発に自分を抑えきれる自信が無くなったレヴィアタンは一度身体を起こし、オリヴィエの上からどくと、ふーふーと野性味あふれる息を漏らす。  その目はカシスがあの日見せたような欲望に血の色を濃くしていたが、だが理性を失うまいと喉で唸りながら自らの手の甲に血が出るほど噛みつく姿に兄の思いやりを見る。  オリヴィエはそんな兄の元に擦り寄って、流れる血を赤い舌でミルクを飲むようにぴちゃぴちゃと舐めとった。  意識的にいやらしい舌遣いで時おり上目遣いに兄に目を合わせれば、日頃は穏やかな兄の顔は感情が爆発寸前といった様に赤くなっており、オリヴィエは兄が可愛くて仕方なくなった。 「ねえ、兄さまも全部僕に見せて」  言いしなすでに股の間が張り上がった柔らかなズボンに手をかけると、思いきり跳ね上げるように飛び出してきてオリヴィエの頬はぴしゃんと打たれた。 「すごっ……。小さい頃も結構大きかったけど、すごすぎる。血管浮いてるし、色もなんか……」 「はしたないだろ、オリヴィエ!」  困惑しながらもオリヴィエの熱い吐息一つでさらにびきびきっとなる兄の分身が愛おしい。 「はしたない? 僕だって男だよ。好きな人のこと可愛がりたくて仕方ないんだからね」  そう言いながら、怒張という言葉が頭に浮かぶほど猛り切った兄のものに舌を這わせる。兄のものはとても口には納まりきれない。掴んだものの片手ではこの充溢にたいして物足りなげで、両手を上下交互に掴み上げる。 「ふっ……。おっきいから、口だけじゃ無理」  すでに先走りに濡れたそれを両手で最初から激しくしごくと、蜜が溢れてくる鈴口を舌先でこじ開けるように舐めとる。懸命に頬張り、喉の辺りまで迎え入れようとしては自らも感じてしまって、オリヴィエはその刺激を逃そうと悩まし気に腰を蠢かす。 「レヴィ、やばい、一回離して」 「うーうん」  そんな兄の泣き言を無視して、オリヴィエは首を振り黒髪を乱しながら、じゅぼ、じゅぷっと水音を立ててレヴィアタンを追い立てた。
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