カエルくんのともだち

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 ***  ところがどっこい、カエルくんの言葉は本当に正しかったわけで。  その水曜日までは晴れマークだった、金曜日の天気予報。なんと木曜日になってから、どこの局でも雨マークに変わっていたのだ。そう、カエルくんの雨予報が信憑性を帯びてきたのである。  焦ったのはいじめっこたちだろう。川口くんは、何がなんでもカエルくんに恥をかかせてやりたかったらしい。木曜日、校舎の裏でカエルくん取り囲んで再び尋問したのだった。 「お前、金曜日が雨ってどっかで知ってたんだろ!おい、言えよ、一体誰に教えて貰ってんだ!?俺らを騙そうったってそうはいかねえんだからな、この詐欺師め!!」 「おい、お前ら何してんだ!」  いくらなんでも許せない。外れたら裸で廊下を走れ、なんて屈辱極まりない命令をしておきながら。それが思い通りにならなそうだとわかると、今度は人を詐欺師呼ばわりするなんて。  しかし、僕はかけっこは早くても腕力や体格があるわけじゃない。川口くんに掴みかかったものの、あっという間に突き飛ばされて尻餅をつかされることになってしまうのだ。川口くんはパワーも喧嘩の強さも圧倒的だった。 「お前、この俺に喧嘩売るつもりかよ。いい度胸だな。今すぐ、俺らを騙してたって認めてこいつと謝るなら許してやってもいいけど?」 「だ、誰が!」  痛いのは嫌だ。殴られたくなんかない。  それでも、カエルくんの名誉が傷つけられる方がもっと嫌だった。彼は嘘なんか言ってない。いつも雨を教えて、僕達を助けてくれたっていうのに! 「カエルくんは嘘なんか言ってない!嘘つきはお前らだろ。カエルくんは雨を当てたんだから、お前らこそカエルくんを嘘つき呼ばわりしたことを謝れよ、ばーか!」 「んだと、テメェ!」  そのあとはまあ、お察しの通り。僕は、川口くんと取り巻きにボッコボコに殴られた。いつもジャイアンにいじめられてばかりののび太の気持ちもわかろうというものである。生憎僕はのび太のようにおとなしい性格ではないので、一発二発はきっちり殴り返してやったわけだが。 「さ、サツキくん。ごめん、本当にごめん……」  カエルくんは傷だらけになった僕に駆け寄ってきて、言った。 「ボクのせいで、本当にごめん。あいつらの言う通りだって、認めていれば……」 「馬鹿。認めたら、お前裸で廊下走らされるんだぞ。僕はその方が百倍嫌だ。カエルくんは嘘なんか言ってないんだろ?だったら堂々としていればいいんだよ、堂々としていれば!」 「サツキくん……」  彼は、きゅっと唇を引き結んで、こう言ったのである。 「……実は、ボクも本当はすごく怒ってるんだ。関係ないサツキくんをぼこぼこにしやがって。だからさ。……明日の予定、ちょっと変えようと思うんだ」 「予定?」 「うん」
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