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彼氏ができた。
といっても私にではなく、私のことを好きだった男子にだ。
男子――仮にOとしよう――は、1年生の終わり頃、私に告白してきた。Aは、
「付き合いたいけれど私に好きな人がいるのは知っているから」といい、付き合
うことを無理強いしてこなかったので、とても楽に話すことができた。
もちろん、私はAに恋愛感情は抱いていなく、1人の友人としてみていた。
そんな中、2年生になって少し経った頃に、ある噂が私の耳に入った。
――A、中1の女子と付き合い始めたらしいよ――
私はすぐ、Aに確認した。返ってきた返事は、噂を肯定するものだった。
しかもAの方から、軽い気持ちで告白した、というのだ。
前々からメッセージのやり取りを続け、そのたびに、「かわいい」「すき」などと
送ってきていたAが、自分から告白をしていた、ということに私は少なからず
驚いた。
――N悲しんじゃうよね――
Nというのは私の名前だ。
私は彼のことを恋愛的に好きではない。なのにどうして私が悲しまなくてはい
けないのか。疑問に思った。
――別に悲しくない――
送ったメッセージに対してAは、とても驚いたようだった。
その後もやり取りを続け、ぽろっとAが送ってきた文に、私の何かが切れた。
――Nのこと諦めなきゃだね――
自分から告白しておいて、何が諦めなきゃ、だ。ふざけるな。
そんな思いでいっぱいになった。
――Aの方から告白したんでしょ?何諦めなきゃとか言ってんの?――
――告白を受けてもらえたってことは少なからずその子はAのことが好きなん
だよ?それを弄ぶようなことして・・・。最低――
――きちんとその子に謝るか、きっぱり私のことを嫌いになって――
今思えばそれなりに無責任なことを言っていた。
悪いとは思わない。私は自分が思ったことを言っただけであって、真っ当なこ
とを口にしたのだから。
だけど、やっぱり少し寂しい気もする。
ずっとお母さんお母さん言っていた息子が自立して一人暮らしを始めたような
心境だ。ほんのちょっと寂しいけれど、成長に感動して、微笑っていられる。
昨日聞いたばかりなこともあってか、まだ、2人は長続きするか、すぐ別れる
のか、何もわからない。
けれど、わからないなりに2人のことを応援したい。
幸せに、仲良くやりなね―――。
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