あなたは泣いてもいい

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 恋人は焦らすのが好きだ。キーワードを全て口にすればイカせてもらえる。決まった手順を踏むのが好きなのかもしれない。条件が揃ったら先へ進めるゲームみたいに。 「お願い、お仕置きして……」  身体が堕ちてしまえば、気持ちもどうでもよくなるだろうか。恋人が気持ちよくなるように使ってもらえたら、罪悪感も消えるだろうか。 「こんな悪い子には、よく教え込んでおかないとね」  今日の恋人は少し攻撃的な気分らしい。容赦なく私の弱点を突いてくる。 「あっ……! あっ! ごめんなさい……許して……」 「ちゃんとイカないと、許さない。もっと乱れなさい」  イカれた人間だ。許さない。乱れている。恋人の言葉がそう聞こえる。  気持ちと裏腹に身体は感じてしまう。快感に震え、媚びた声が出る。  強烈な悦楽に頭が真っ白になる。  でも、恋人の隣では、熟睡できない。  私の身体はどうして私を裏切るんだろう。
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