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刹那。一瞬を切り取って、逃さない。
パシャリ。パシャリ。パシャリ。
「やたら撮るんだね」
「俺は器用じゃねえから、回数重ねるしかない」
「この一矢に定むべし、じゃないの?」
「それとこれとは別。回数を重ねるのは努力だろ」
石田の言うことは、なんだかいつも、言葉遊びみたいだ。
「できることはする。でも、運の要素は大きい。今日、こんないい天気じゃなかったら、虹は作れなかった」
虹の彼方は、悩みのない、夢が叶う場所。
「行ってみたい」
「どこに?」
「虹の彼方」
「倉橋の意志、初めて聞いた気がする」
石田の言葉に困惑する。
「石田はどこか行きたいところ、ある?」
「俺は、カリフォルニアに行きたい」
「カリフォルニア?」
「『天国に近い島』って意味らしい。ゴールドラッシュの街で、エネルギッシュだし、行ってみたい」
黄金色に光る、天国に近い島。
私と石田が行きたい場所は、どこか似ている。
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