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「すっかり覚えちゃって。俺と出会うまでは処女だったのにね?」
「や、やだぁ……」
「何も知らなかった百合香ちゃんを、俺が、女にした」
恋人は唇の端を上げ、今度こそ容赦なく最奥を突き上げる。求めていた刺激に、思わず身体が反る。
「イクぅ……!」
イク時はちゃんと言おうね、と教え込まれたから、きちんと声に出して申告する。その間に身体は快楽の坩堝へと堕とされていて、私の中はひくひくと蠢いている。
「上手にイケたね」
事後、愛おしそうに頭を撫でてくれる恋人に対して、私は恥じらいを滲ませた笑みを浮かべることができているだろうか。
できているのだろう。恋人は嬉しそうな顔をしている。
彼は私の初めての恋人で、キスもセックスもオーガズムも、全て教えられた。何度も、丁寧に、上手くできたら褒められて。
恋人は私の弱いところを覚えてくれたから、いつもきっちり攻めてくれる。
裕福な家庭に育って、整った顔立ちをしていて、安定した企業に内定していて、優しく誠実で、私だけを愛している。完璧な恋人。
あまりにも完璧すぎて、たまに、窒息しそうになる。
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