空に飛ぶ者たち

4/10

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
翌日も晴れた。 もう島に来て3日が経つ。 僕はまた散歩でもしようと思いながら、朝食を食べていると女将さんが僕に話しかけてくれた。   「今日ね、主人が船を出すの。もし良かったら乗ってみない。風が気持ち良いわよ。」 僕は特にやることもなかったので船に乗せてもらうことにした。ご主人の船は船着き場のすぐ近くにあり僕はそこから船に乗った。僕の他に3組の人がいた。僕と一緒に宿に泊まっている人と、日帰りで帰る人がいて、僕たちは観光と釣りが体験できる。 全員が乗ると船は岸をゆっくりと離れて行った。 海は静かで風が気持ちよかった。この島を海上から眺めると改めて自然が豊かだと実感する。 若葉の緑は優しくそして力強く何処かに向かって成長している。 僕も若葉みたいになりたいと詩人のようなことを考えてしまい照れ笑いしてしまう。 船はやがて釣りのポイントへやって来た。 さっきから鳥たちが騒いでいる。 「さあ、釣りをはじめましょう。初心者の方は私が教えますので船の右側にお集まりください。」 僕は釣りをしたことがなかったので、ご主人に教えていただくことになった。僕を含めて5人が右側にいた。女性2人と子ども2人と僕だった。何だか少し恥ずかしかった。 僕は餌の付け方を教わり釣り竿を海に投げた。 思ったように飛ばなかったがそのまま待った。 30分くらい経つと、ちらほら釣果をあげる人が増えてきた。僕にはまだ釣果はなかった。 「少しお手伝いしますね。」 ご主人が僕の釣り竿を海に入れた。僕とは違い糸は的確に魚の方に向かって伸びて行くようだ。 僕はまたぼんやりと海を見ながら魚の行方を待った。 僕がぼんやりしていると何やら糸の先が動き出した。僕の竿を見てご主人が僕に糸をゆっくり巻くように言った。僕は慎重にくるくると糸を巻く。 しばらく糸を巻き続けると糸の先端が見えた。 20センチ位の魚が釣れたのだ。 僕は嬉しかった。思わずガッツポーズをしていた。 釣りを終えると、本州に向かった。日帰りのお客様を送りながら、観光をするためだ。 船は走り出した。途中海上でスピードを落としながらご主人の解説が入る。 「皆さんは、島に神社があることを知っていますか。たつの神社と言います。実はたつの神社は双子の神様で本土にも同じ神社があり、水を護っています。本土では毎年7月にお祭りがあります。神様は、お社の中にある鏡と鏡を結ぶ橋をお渡りになり一年間の海の安全を護ってくれると言われています。神様のお渡りになる橋は海の光を感じて強くなります。だから、海が汚れていると橋がうまくか掛からないから海を護りづらくなり災いが起こると言われています。 僕は子どもの頃、よく海のゴミを拾っていました。母親に連れられて海に来ては、ゴミを拾う手伝いをしていたのです。ご褒美をもらうためでしたが。」 ご主人の話しはとても面白くってあっという間に島に帰って来てしまった。岸に着いた僕たちは、公園に向った。今日は宿に泊まっている人全員でバーベキューをやることになっていた。 公園の階段を登ると肉の焼ける良い香りがした。 僕らは、飲み物を飲みながら好きなお肉や野菜を食べた。2時間くらいだったが、心も身体も満足して宿に戻った。 僕はまた温泉に行った。 温泉でゆっくりと身体の疲れをとり宿に戻った。 夕食まで少し時間があったので旅行バッグに詰めてきた手帳と鉛筆を取り出し絵を書いてみた。 この島の伝説を思いながら想像を紙に写していく。B5の紙の上には僕の頭の中身が表現されていく。 僕は夢中になり頭の中を転写していく。 気がつくと夕食の時間になっていた。 今日の夕食は皆で釣った魚の刺し身だった。 どれもこれも新鮮でおいしかった。 僕は大満足で部屋に戻りそのまま寝た。 今日は、公園で天体観測をしようと思っているのだ。 僕はゆっくりと眠りについた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加