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「お疲れさま」
同期の園子がニヤニヤと
笑いながら近付いてきた。
「恭介は相変わらずだね」
「何だよ。今日は何か用?」
「そー、うちの営業所で会議があってね」
言いながらバッグから書類を出して
デザイン画部分を指差しながら続ける。
「あおすけのアクセサリーはどうかな?って」
青虫をモチーフにしたキャラクター。
我が社では人気キャラの一つだ。
「誰も青虫の指輪とかいらないだろ(笑)」
「ええ~、試作品作ってよー」
ここの工場ではアクリルを使って
キーホルダーなど様々なグッズを作っている。
デザイン指輪を作るのも簡単だ。
「まあ、工場長に聞いてくるよ」
「やった。ありがと!私も手伝う」
「おう」
二人で作業をしながら
アクリルのあおすけ指輪を作ったが
指にデカイ青虫が巻き付いてるようで
イマイチこの上ない。
園子が指輪をはめて笑う。
「思ってたのと違う…(笑)」
「素材変えて細めで作るか?」
「そうだね」
夕方まであれやこれやと話しながら
試作品をいくつか仕上げた。
商品化してもらえそうな物はなかったが
園子は満足そうだった。
「恭介、この後飲みに行かない?」
「あー、ごめん。夜は彼女と待ち合わせしてる」
「噂の年上彼女かー。もう付き合って何年だっけ?」
「二年半くらいかな」
学生の時に出来た四歳年上の彼女とは
今日は同棲の相談をする予定。
「んじゃ、また今度!」
「じゃあな」
残りの仕事を片付けて
彼女の待つレストランへ向かった。
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