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「そろそろ脳みそ掃除おわった?」
生鬼に声をかけられ私は現実に戻ってきた。
「あ、うん。…また人の心の声を盗聴したのっ!?てか、なんで私の前に片膝ついてるのよ…。」
我に返ればまたもやツッコミどころ満載な状況。
「未来永劫の契約で心の声は口に出してしゃべってるのと同じようにハッキリと聞こえる。
仕返しがどうとかもね。」
生鬼は数十分前の黒い笑みを浮かべていた。
ヤバい、バレてる。
てか、何も考えられないじゃないっ!
ん?
てことは、生鬼の心の声も聞こえてくるはずじゃ?
何も聞こえないけど…。
っ!やっぱだまされた!?
生鬼に丸聞こえなのを忘れて私はまた心の声をもらす。
「人聞き悪いなー。だましてないよ。俺は何も考えてないだけ。
因みに片膝ついてるのは証明のアザが出たから見せるためにあなたを待ってる体制。」
生鬼は拗ねた口調でまたも私の心の声と、ついでにさっきの質問に答えた。
(…何も考えてないだけって…イケメンだけど残念な子だったのね…。)
私は生鬼をじーっと見つめながら極力小さく心の声をもらした。
生鬼は首をかしげているから、極力小さくなら聞こえないみたいね。
「……じゃあ、何か考えて!それからアザ見せて!」
「いいよ、んーそうだなぁ。」
『華、Weil du unersetzlich bist.』
「聞こえた?」
生鬼はそのキレイな顔をにっこりさせて聞いてきた。
「き、聞こえたっ!…てか何語?」
(その顔でその笑顔は反則でしょ!)
私は小さくつぶやいた。
「そう、良かった。ドイツ語。華は俺にとってかけがえのない人って意味。」
またもやにっこり…
キレイどころの笑顔はこんなにも破壊力があるのか……。
それに更に破壊力のあるセリフまでついてたような気がするんだけど……。
てかドイツ語ってこの鬼、Made in Japanよね?
「おーい!華さーん?」
生鬼が目の前で手をひらひらさせて言った。
いかん、生鬼の顔に見惚れてたわ。
ホント、なまじキレイなのが何か腹立つ。
私は思わず眉間にシワを寄せて睨むような形になった。
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