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「ホントねー。同じアザ出てる。」
もっとよく見ようと顔を近づけながら手を伸ばし確かめるようにアザを指でなぞった。
「っ…ハァッ…」
「え?」
何か悩ましげな声が聞こえて生鬼の横顔を見上げる。
ん?なにこの表情は…。
え、何か “ 悦 ” 入ってるんだけど。
私は身悶える生鬼の様子を伺いながら、もう一度アザをなぞった。
「ンッ…ぁあッ……」
生鬼の体がビクンと跳ね呼吸が荒くなる。
表情にも色香が浮かんでいる。
「…ここ、感じるタイプ?」
生鬼の表情に恥ずかしいとか何とかより、驚きの方が勝ってしまった私は冷静に尋ねた。
「…ちがうっ。証だから…だっ。」
まだ少し荒い呼吸で、うっすら目を開けて熱を含んだ流し目を向けられた。
ドキッ………。
「あ、証だからって!…どーゆーことよっ!」
ここで初めて生鬼の色香にドギマギした。
それに気づいて赤くなる顔をごまかすように語気が強くなる。
少しだけ呼吸が整った生鬼は熱を含んだ眼差しのまま言った。
「身を以て知ればいい。」
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