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悪役令嬢ソフィアナ
現在、リディとルシアンは二人きりで談話室にいた。だがその室内は静寂だ。
その場の勢いのように会場を後にして談話室に来たものの何からどう話せばいいのか…まずは混乱した頭を冷やそう。
そう思ってリディはテーブルの少しブランデーの入った紅茶に口をつけた。
目の前を見ればルシアンはソファに座っているが肘掛けに崩れるようにもたれかかり右手で顔を覆っていた。
(ルシアン様にとってもさっきの事は想定外よね…キスもその場の勢いだったんだろうし、むしろ好きでもない女と口付けるって…気持ち悪いだろうなぁ…)
あの行為はリディをシャルロッテから守るためであり、そして社交界でリディを口さがなく言う人達に向けた牽制でもあった。
あのパフォーマンスによりバークレー家の後ろ盾が明確になり、今後リディの名誉を傷つける人間はいなくなるはずだ。
(…あの瞬間に色々計算して動かれるなんてさすがルシアン様だわ)
だがリディはそこで感心している場合ではないのだ。
考えも纏まって来たので、リディは立ち上がると若干の落ち込みを見せるルシアンに思い切って声をかけた。
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